情報処理安全確保支援士午後 事例記述令和6年 秋期
午後 問4

問4 セキュリティ診断

テーマ:セキュリティ診断
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長文事例本文

図表クリックで拡大
B社は,セキュリティ診断サービスを提供している会社である。このたび,転職支援サービスを提供しているM社から,転職支援Webサイト(以下,Mサイトという)のセキュリティ診断を受注した。 Mサイトを利用する求職者は,氏名,自宅住所,電話番号,勤務先などの求職者属性情報と,希望職種,希望条件などの求職情報を入力する。求人企業は,会社情報,求人情報,求人担当者の氏名,所属部署などの情報を入力する。これらの情報は,Mサイトのデータベースに保存される。Mサイトでは,入力された情報に基づいて,求職者と求人企業のマッチングを行っている。求職者は,マッチングで提案された企業に問合せや応募をすることができる。 Mサイトは,機能を追加した新しいバージョンのWebアプリケーションプログラム(以下,MサイトのWebアプリケーションプログラムをWebアプリという)と,求人企業がアプリケーションプログラムからHTTPSで呼び出すことを想定したインタフェース(以下,このインタフェースをWebAPIという)の開発が完了したところであり,リリース前である。 〔セキュリティ診断の診断対象と診断方法〕 今回のセキュリティ診断の診断対象と診断方法は,図1のとおりである。
図1 診断対象と診断方法 拡大
図1 診断対象と診断方法
Mサイトの設計書の中で参照した部分を,図2,図3及び表1に示す。
図2 WebAPIの仕様 拡大
図2 WebAPIの仕様
図3 画面遷移図(抜粋) 拡大
図3 画面遷移図(抜粋)
表1 各画面のURL 拡大
表1 各画面のURL
〔セキュリティ診断報告書〕 B社は,セキュリティ診断を実施し,図4の診断報告書を作成した。 診断報告書 1章 診断結果概要 1.1診断結果要約 Mサイトで,脆弱性を検出した。 (省略) 1.2検出した脆弱性の件数 (省略) 2章Webアプリケーションプログラムの診断結果 2.1検出した脆弱性の概要 検出した脆弱性は,表Aのとおりである。
表A 検出したWebアプリケーションプログラムの脆弱性の一覧 拡大
表A 検出したWebアプリケーションプログラムの脆弱性の一覧
2.2検出した脆弱性の説明 2.2.1セッションフィクセーション (1) 脆弱性の内容 Mサイトではform内のhiddenフィールドであるsessionIDの値だけでセッション管理を実施していた。しかし,表Bのいずれの画面遷移においても,HTTPレスポンス中のsessionIDの値が同一であった。
表B セッションフィクセーション脆弱性の確認 拡大
表B セッションフィクセーション脆弱性の確認
攻撃者が図Aの手順でこの脆弱性を悪用すると,Mサイトに不正にログインすることができる。
図A セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインする手順 拡大
図A セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインする手順
攻撃者が,セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインに成功し,画面02で応募者確認ボタンをクリックして,当該企業の求人に応募した求職者の求職者属性情報と求職情報を閲覧できる。また,同じ画面02で問合せ確認ボタンをクリックして,当該企業に問合せを行った求職者の求職者属性情報と問合せ内容を閲覧できる。 (2) 脆弱性の修正方法 aの画面遷移の際に実行されるコードにおいて,dすることを推奨する。 2.2.2メールヘッダーインジェクション この脆弱性は,メール(あ)について検出された。なお,メール(い)では,この脆弱性は検出されなかった。 (1) 脆弱性の内容 図Bの手順で操作を行ったところ,メール(あ)がabc@example.comだけに送信され,本来の宛先である変更前のメールアドレスには送信されなかった。abc@example.comに送信されたメール(あ)の内容を表Cに示す。
図B メールヘッダーインジェクション脆弱性を検出した手順 拡大
図B メールヘッダーインジェクション脆弱性を検出した手順
図C メールヘッダーインジェクションの検査文字列 拡大
図C メールヘッダーインジェクションの検査文字列
表C メール(あ)の内容 拡大
表C メール(あ)の内容
攻撃者がこの脆弱性を悪用するには,求人企業としてMサイトにログインする必要がある。求人企業としての登録には審査が必要であり,この脆弱性だけを利用して攻撃が行われるおそれは小さい。 (2) 脆弱性の修正方法 (省略) 2.2.3 HTTPヘッダーの不備 (1) 脆弱性の内容 表DのHTTPヘッダーは,出力するよう推奨されているが,いずれの画面遷移のHTTPレスポンスにおいても出力されなかった。
表D 出力されなかったHTTPヘッダー 拡大
表D 出力されなかったHTTPヘッダー
これらのHTTPヘッダーを設定することで他の脆弱性による被害を軽減することができる。 (2) 脆弱性の修正方法 (省略) 3章 プラットフォームの診断結果 3.1検出した脆弱性の概要 検出した脆弱性は,表Eのとおりである。
表E 検出したプラットフォームの脆弱性の一覧 拡大
表E 検出したプラットフォームの脆弱性の一覧
3.2検出した脆弱性の説明 3.2.1 TLS 1.1が利用可能 (省略) 3.2.2 HTTPサーバのバージョンの露出 HTTPレスポンスのヘッダーに,HTTPサーバのバージョンが出力されている。 (省略) 4章 総合評価 4.1想定される攻撃と被害 攻撃者が,セッションフィクセーション脆弱性を悪用するだけでも求職者属性情報を窃取することができるが,図Dの順序で攻撃をした場合,不審なメールが求人企業に届かないので,攻撃に気付かれることなく,WebAPIを悪用して,より多くの求職者属性情報を窃取することができる。
図D より多くの求職者属性情報の窃取につながる攻撃 拡大
図D より多くの求職者属性情報の窃取につながる攻撃
(省略) 5章 参考意見 本章は,弊社の知見に基づく参考意見である。 5.1 Mサイトの仕様についての意見 今回の診断の過程で,Mサイトの仕様の一部を把握することができた。弊社が把握できた範囲内でも,Mサイトの仕様には幾つかの問題点があり,表Aと表Eの脆弱性を修正したとしても,インターネットからの攻撃によって被害が発生するおそれがある。 5.1.1 WebAPIの仕様の改善 WebAPIに関して,仕様の改善の方針案と改善すべき理由を表Fに示す。改善によって,攻撃による被害を未然に防止すること,又は被害を軽減することができる。
表F WebAPIの仕様の改善の方針案 拡大
表F WebAPIの仕様の改善の方針案
5.1.2 Webアプリケーションプログラムの求職者向け機能の仕様の改善 (省略) 5.1.3 Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能の仕様の改善 Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能に関して,仕様の改善の方針案と改善すべき理由を表Gに示す。改善によって,攻撃による被害を未然に防止すること,又は被害を軽減することができる。
表G Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能の仕様の改善の方針案 拡大
表G Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能の仕様の改善の方針案
(省略) B社は,M社に診断報告書を提出し,セキュリティ診断を完了した。

設問一覧 & 解答・演習

まずは解答を作成してみましょう。「解答例を見る」をクリックするとIPA公式解答例と採点基準が開きます。

設問1 (1)記号・選択式
図4中の2章について答えよ。
表A中及び2.2.1(2)中の a に入れる適切な記号を,図3中の画面遷移の記号(ア)〜(ナ)から選び,答えよ。
※記号ボタンをクリックするか、直接入力してください
設問1 (2)記号・選択式
図4中の2章について答えよ。
図A中の b に入れる適切なURLを,表1から選び答えよ。
※直接入力してください
設問1 (3)記述問題
図4中の2章について答えよ。
図A中の c に入れる適切な操作を答えよ。
0 文字
設問1 (4)記述問題
図4中の2章について答えよ。
2.2.1(2)中の d に入れる適切な修正方法を具体的に答えよ。
0 文字
設問1 (5)記述問題
図4中の2章について答えよ。
表D中の e , f に入れる適切な効果を答えよ。
0 文字
設問2記述問題
図4中の4章にある図D中の g , h に入れる攻撃手順を答えよ。
0 文字
設問3記述問題
あなたがこの診断を担当したとして,図4中の5章の表F中の i , j 及び表G中の k , l に記述する内容を答えよ。
なお,複数の改善の方針案がある場合は,被害を防ぐ効果が最も高いものを答えよ。
0 文字
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💡 推薦ポイント:午後試験の長文事例でどこに着目して脆弱性と対策を抜き出すか、合格答案の記述テンプレートを効率よく習得できます。
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【出題趣旨】IPA公式発表
脆弱性は一つ一つが軽微でも,複数組み合わせて悪用されると,重大な被害につながることがある。また,診断ツールで検出される脆弱性以外にも,想定される攻撃に対して,セキュリティ対策が不足しているといった脆弱性もある。診断者がこういった脆弱性も報告に含めることで,その後,システムのセキュリティが大きく向上することがある。 本問では,個人情報を取り扱うWebサイトに対するセキュリティ診断を題材に,診断ツールで検出された脆弱性について,悪用された場合の被害を想定する能力及び被害を低減するための対策を立案する能力を問う。
【採点講評】IPA公式発表
問4では,個人情報を取り扱うWebサイトに対するセキュリティ診断を題材に,診断ツールで検出された脆弱性について,悪用された場合の被害及び被害を低減するための対策について出題した。全体として正答率は平均的であった。 設問1(2)は,正答率が高かった。セッションフィクセーション脆弱性について,よく理解できていた。 設問1(5)fは,正答率が低かった。攻撃による被害を軽減するHTTPヘッダーについて,設定した場合の効果をよく理解してほしい。 設問2gは,正答率が低かった。攻撃の後の流れに合っていない解答が散見された。Webサイトの全体の機能を考慮し,脆弱性を組み合わせて悪用する攻撃を考える能力を培ってほしい。 設問3は,正答率がやや低かった。被害を軽減できない誤答が散見された。Webサイトでは,取り扱う情報の機密性などに応じた,認証やアクセス制限が必要である。それぞれのWebサイトの特性を考慮したセキュリティ対策を策定する能力を培ってほしい。
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