情報処理安全確保支援士午後 事例記述令和6年 秋期
午後 問2

問2 ドメイン名変更

テーマ:ドメイン名変更
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長文事例本文

図表クリックで拡大
A社は,従業員1,000名の工作機械製造会社である。A社の技術力は高く評価されている。A社には,総務部,営業部,情報システム部,技術部及び製造部がある。 A社のWebサイトでは,一般向けにIR情報と関連会社へのリンクを,顧客向けに自社製の工作機械管理用アプリケーションプログラムとそのソフトウェア修正プログラムを提供している。また,A社では,電子メール(以下,メールという)を用いて,顧客との間で見積書や注文書の送受信をしたり,ニュースサイトのメールマガジンに登録して最新の情報を収集したりしている。 A社のドメイン名を詐称したメールが毎週2通程度,送られていることが,多くの顧客から報告されている。情報システム部長は,顧客に詐欺などの被害が生じるおそれがあることを認識し,メールの詐称対策が必要であると考えている。 〔情報システムの現状〕 A社は,10年前にドメイン名a-sha.co.jp(以下,A社ドメイン名という)を取得して以降,A社のWebサイト(以下,A-Webサイトという)及びメールアドレスのドメイン名として利用している。A社ドメイン名は,DNSサービス事業者であるS社の権威DNSサービス(以下,Sサービスという)を用いて管理している。 A-Webサイトは,Webサービス事業者であるW社のWebサービス(以下,Wサービスという)を用いて提供している。 A社のネットワークを図1に,構成要素の機能を表1に示す。A社の従業員は,PC-LAN内のPCで業務を行っている。
図1 A社のネットワーク(抜粋) 拡大
図1 A社のネットワーク(抜粋)
表1 構成要素の機能(抜粋) 拡大
表1 構成要素の機能(抜粋)
表2 第三者中継防止のためのルール 拡大
表2 第三者中継防止のためのルール
〔ドメイン名の変更についての検討〕 A社は,3か月後にZ社への社名変更を予定している。情報システム部長は,メールの詐称対策の導入及び社名変更に合わせたドメイン名変更を検討するように情報システム部のN主任に指示した。N主任は情報システム部のEさんと,次のとおり検討した。 ・z-sha.co.jp(以下,Z社ドメイン名という)が過去に取得されたことがないドメイン名であることを確認してから取得する。 ・Z社ドメイン名の管理もSサービスで行う。 ・WサービスでZ社ドメイン名のWebサイト(以下,Z-Webサイトという)も立ち上げる。 ・図1のメールサーバでは,複数のドメイン名のメールを受信できないことから,商用のメールサービスに移行する。 ・メールの詐称対策は,SPF,DKIM及びDMARCで対応する。 N主任とEさんは,Z社が送信するメールの詐称対策(以下,送信対応という)と,Z社が受信するメールの詐称対策(以下,受信対応という)について方針をそれぞれ表3と表4のとおり作成した。
表3 送信対応方針 拡大
表3 送信対応方針
表4 受信対応方針 拡大
表4 受信対応方針
N主任とEさんは,これまでの結果を,情報システム部長に報告し,了承を得た。 〔メールサービスの機能の検討〕 N主任とEさんは,メールサービスの機能について検討し,メールサービス事業者であるU社のメールサービス(以下,Uサービスという)に移行することにした。Uサービスの機能の概要を表5に示す。
表5 Uサービスの機能の概要(抜粋) 拡大
表5 Uサービスの機能の概要(抜粋)
〔Z-Webサイト及びUサービスへの移行手順の検討〕 Eさんは,Z-Webサイト及びUサービスへの移行手順を検討した。検討結果を,図2及び図3にそれぞれ示す。
図2 Z-Web サイトへの移行手順 拡大
図2 Z-Web サイトへの移行手順
図3 Uサービスへの移行手順 拡大
図3 Uサービスへの移行手順
Eさんは,図2及び図3をN主任に説明し,了承を得た。 〔送信対応の設定内容についての検討〕 Eさんは,送信対応に用いるSPFレコードを,Uサービスから提供された情報に基づいて作成した。 次に,Eさんは,送信対応に用いるDKIMレコードについて検討した。Z社がUサービスを利用した場合,送信されるメールに付与されるDKIM-Signatureヘッダーのタグの内容を表6に示す。
表6 タグの内容(抜粋) 拡大
表6 タグの内容(抜粋)
表6から,①DKIMレコードの名称として使用するFQDNが決まる。Eさんは,Uサービスから提供された情報に基づきDKIMレコードを作成した。 最後に,Eさんは,Mail-Step1の送信対応ではDMARCレコードを図4のとおりとすることにした。
図4 DMARCレコード 拡大
図4 DMARCレコード
Eさんは,設定内容をまとめてN主任に報告し,了承を得た。 〔A社ドメイン名の契約についての検討〕 N主任とEさんは,A社ドメイン名使用の契約を継続するか解約するかについて検討した。解約した場合,第三者がA社ドメイン名を取得することができる。N主任とEさんは,第三者がA社ドメイン名を取得した場合のA社ドメイン名の悪用例を検討し,表7のとおりまとめた。
表7 A社ドメイン名の悪用例 拡大
表7 A社ドメイン名の悪用例
N主任とEさんは,A社ドメイン名使用の契約を継続することを情報システム部長に報告し,承認を得た。 また,A社ドメイン名については,Mail-Step4の後で次のとおり,設定することにした。 ・DMARCレコードを設定する。 ・DMARCの受信対応を行った組織がA社ドメイン名からのメールを拒否できるようにする。 そのために,A社ドメイン名について,SPFレコードを図5のように設定する。DKIMレコードは設定しない。
図5 SPFレコード 拡大
図5 SPFレコード
〔Uサービスへの移行の見直し〕 Mail-Step1において,DMARCレポートの分析結果を参照した結果,送信対応には問題がないことが確認できた。 Mail-Step2の開始1週間後,情報システム部のEさんに営業部のHさんから,図6に示すメールの一斉配信をしても問題ないか相談があった。
図6 メールのー斉配信の説明 拡大
図6 メールのー斉配信の説明
Eさんから相談を受けたN主任は,図6の一斉配信メールについて,次のとおりEさんに説明した。 ・Mail-Step3以降で,一斉配信されたメールが届かない場合がある。メールが届くように,Mail-Step2の期間で,④表3の項番3での登録内容を見直す必要がある。 Eさんは,見直し案を作成し,N主任の了承を得てから,Hさんに問題ないことを説明した。 Mail-Step2の開始2週間後,情報システム部に技術部のJさんから,図7に示すメーリングリストを新たに利用することが可能か相談があった。
図7 メーリングリストの説明 拡大
図7 メーリングリストの説明
N主任は,Eさんに図8に示すとおり説明した。
図8 N主任の説明 拡大
図8 N主任の説明
N主任とEさんは,Jさんには,ヘッダーFrom設定1とSubject設定1の組合せを用いるよう説明した。 その後,Z-Webサイト及びUサービスへの移行は,順調に進み,完了した。

設問一覧 & 解答・演習

まずは解答を作成してみましょう。「解答例を見る」をクリックするとIPA公式解答例と採点基準が開きます。

設問1 (1)記号・選択式
〔情報システムの現状〕について答えよ。
表1中及び表2中の a に入れる適切な字句を答えよ。
※直接入力してください
設問1 (2)記号・選択式
〔情報システムの現状〕について答えよ。
表2中の b に入れる適切な字句を答えよ。
※直接入力してください
設問2記述問題
制限字数:10 字以内
表5中の c に入れる適切な字句を英字10字以内で答えよ。
0 / 10 文字
設問3 (1)記号・選択式
〔送信対応の設定内容についての検討〕について答えよ。
本文中の下線①のFQDNを解答群の中から選び,記号で答えよ。
【選択肢】 クリックして選択
選択中の解答:未選択(上の選択肢ボタンをクリックしてください)
設問3 (2)記号・選択式
〔送信対応の設定内容についての検討〕について答えよ。
図4中の d に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
【選択肢】 クリックして選択
選択中の解答:未選択(上の選択肢ボタンをクリックしてください)
設問4 (1)記述問題
〔A社ドメイン名の契約についての検討〕について答えよ。
表7中の下線②について,攻撃の方法を具体的に答えよ。
0 文字
設問4 (2)記述問題
〔A社ドメイン名の契約についての検討〕について答えよ。
表7中の下線③について,受信するメールの内容及び続きの攻撃の例を具体的に答えよ。
0 文字
設問4 (3)記号・選択式
〔A社ドメイン名の契約についての検討〕について答えよ。
図5中の e に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
【選択肢】 クリックして選択
選択中の解答:未選択(上の選択肢ボタンをクリックしてください)
設問5 (1)記述問題
〔Uサービスへの移行の見直し〕について答えよ。
本文中の下線④について,見直しの内容を具体的に答えよ。
0 文字
設問5 (2)記述問題
〔Uサービスへの移行の見直し〕について答えよ。
図8中の下線⑤について,SPFによる認証に失敗する理由及びDKIMによる認証に失敗する理由をそれぞれ,Sサービスへの登録内容とYサービスの仕様を含めて,具体的に答えよ。
0 文字
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【出題趣旨】IPA公式発表
電子メール(以下,メールという)の送信者メールアドレスを詐称したフィッシングが多くなっている。送信者メールアドレスの正当性を判定する対策としてDMARCの導入が進んでいる。 本問では,メールのドメイン名の変更を機とした新たなメールサービスの導入を題材として,メールサービスの設定及びDMARCの導入を問う。
【採点講評】IPA公式発表
問2では,電子メール(以下,メールという)のドメイン名の変更を機にした新たなメールサービスの導入を題材に,メールサービスの設定,変更前のドメイン名の契約維持の要否,及びDMARCの導入について出題した。全体として正答率は平均的であった。 設問2は,正答率が平均的であった。“S/MIME”といった解答が散見された。“S/MIME”は,MIMEの仕組みを使ったメール本文及び添付ファイルの暗号化の方式であって,SMTPを暗号化する方式ではない。メールに関連する暗号技術及び通信プロトコルについて,よく理解してほしい。 設問3(1)は,正答率が低かった。DKIMの仕組み及び表6のタグの内容を用いれば,正答を導くことができる。DKIMの仕組みについて,よく理解してほしい。 設問5(2)SPFは,正答率がやや低かった。メールのSubjectに通番情報を付加するといった解答が散見された。SPFでは,Subjectを判定対象としていない。SPFの仕組みについて,よく理解してほしい。 設問5(2)DKIMは,正答率が平均的であった。表6のhタグにおいて,Subjectを判定対象として含んでいる。メールのSubjectに通番情報を付加すると,DKIMによる認証が失敗する。DKIMの仕組みと,メーリングリストの設定を理解した上で,解答してほしい。
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