ネットワークスペシャリスト午後I 事例記述平成28年 秋期
午後I 問2

問2 モバイル端末を用いた業務システムのネットワーク設計

テーマ:モバイル端末を用いた業務システムのネットワーク設計
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長文事例本文

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問2 モバイルネットワークの検討に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。  E社は,中堅の運送業者である。E社では,営業活動の効率向上を目的として,販売管理システム(以下,システムという)を導入することにした。システムでは,顧客宅を訪問した営業員が,支給されたタブレット端末とモバイルWi-Fiルータを用いて,サービス紹介などのプレゼンテーション,見積書の作成,及び車両・作業員の手配を行えるようにする。 〔モバイルネットワークの検討〕  システムの導入に当たり,社内プロジェクトチームが発足し,O君がモバイルネットワークについて検討することになった。O君が考えたモバイルネットワーク構成案を,図1に示す。
図1 モバイルネットワーク構成案 拡大
図1 モバイルネットワーク構成案
 モバイルネットワーク構成案の概要は,次のとおりである。 ・タブレット端末とモバイルWi-Fiルータの接続は,無線LANを用いる。 ・モバイルWi-Fiルータとインターネットの接続は,通信事業者のLTE回線を用いる。 ・VPNサーバ及びFWとインターネットの接続は,SW1,ルータを介して行う。 ・タブレット端末は,VPNサーバとVPN接続を行い,VPN接続後の名前解決は,内部DNSサーバを用いて行う。 ・タブレット端末から販売管理サーバ及びインターネット上のサーバへの通信は,VPN接続を通して,プロキシサーバ経由で行う。 ・タブレット端末から販売管理サーバへの通信には,HTTPSを用いる。 ・プロキシサーバ及び内部DNSサーバからインターネットへの通信は,FWを介して行う。 ・販売管理サーバ,プロキシサーバ及び内部DNSサーバには,プライベートIPアドレスを割り当てる。 〔無線LAN接続の検討〕  導入が検討されているモバイルWi-Fiルータでは,アクセスポイント保護のために次のセキュリティ対策機能が搭載されている。 ・SSIDの値を変更する機能 ・SSIDを隠ぺいする①ステルス機能 ・MACアドレスフィルタリング機能  ②ステルス機能とMACアドレスフィルタリング機能を用いたセキュリティ対策だけでは不十分なので,無線LAN通信の暗号化を行う。導入が検討されているタブレット端末及びモバイルWi-Fiルータは,WEP,WPA及びWPA2に対応しており,このうちのWPA2を採用する。WPA2は,無線LANの暗号化アルゴリズムとして ア が初めて採用された方式である。認証方式には,あらかじめタブレット端末とモバイルWi-Fiルータに同じパスフレーズを設定する イ 認証を用いる。このパスフレーズは一定以上の長さで十分に複雑な文字列とし,SSIDと同様に,モバイルWi-Fiルータごとに異なる値を設定する。  タブレット端末が無線LANに接続すると,モバイルWi-Fiルータは,DHCPによってプライベートIPアドレスの配布を行う。③このプライベートIPアドレスは他のネットワークと重複しないように設計する。 〔LTE回線を用いたインターネット接続の検討〕  モバイルWi-Fiルータには,通信事業者が契約者を識別する情報が記録されている ウ が挿入されている。モバイルWi-Fiルータには,利用者IDやパスワードといった認証情報に加えて,LTE回線からインターネットのようなネットワークへのゲートウェイの指定を意味する, エ の情報を設定する。  モバイルWi-Fiルータは,電源投入時に自動的にインターネット接続を開始し,グローバルIPアドレスが割り当てられる。タブレット端末がインターネット上のサーバと通信を行う際に,モバイルWi-Fiルータでは オ によるIPアドレスとポート番号の変換処理が行われる。  タブレット端末が,インターネットに接続できるようになると,営業員が業務に必要のないWeb閲覧を行うなど,不適切な利用が行われる可能性がある。その対策として,通信可能な接続先IPアドレスを制限するLTE回線のオプションサービスを利用し,モバイルWi-Fiルータからの通信が可能な範囲を,VPNサーバとその名前解決に用いる外部DNSサーバに限定する。 〔VPN接続の検討〕  導入が検討されているタブレット端末には,L2TP over IPsecを用いたVPN接続機能が搭載されており,これを利用する。E社データセンタのVPNサーバには,グローバルIPアドレスを割り当てる。  VPNサーバへの不正アクセスを防止するためのセキュリティ対策を行う。例えば,利用者ID,固定パスワードを用いて利用者認証を行う場合,これらが漏えいすると,直ちにインターネットから不正アクセスが可能となり,危険である。その対策として,ハードウェアトークンを利用する。ハードウェアトークンでは,一定時間ごとに変化する数字が表示されるので,これをワンタイムパスワードとして利用する。  タブレット端末がVPN接続を行うと,VPNサーバは,タブレット端末に対して図1中のネットワークセグメント(E)からプライベートIPアドレスを割り当てる。  訪問した顧客宅での利用が前提となるタブレット端末,モバイルWi-Fiルータ及びハードウェアトークンは,紛失する可能性がある。④営業員が,これらを紛失した際には,直ちにモバイルネットワーク管理者に報告するという運用ルールを策定する。不正アクセスが行われた際の影響を最小限にとどめるために,⑤VPN接続で許可する通信を必要最小限に設定する。 〔プロキシサーバの検討〕  プロキシサーバは,タブレット端末の通信ログを取得する目的で利用し,⑥プロキシサーバのログから各営業員を特定できるようにする。プロキシサーバは,HTTPプロキシとHTTPSプロキシの各機能をもつ。HTTPプロキシの場合,プロキシサーバは,タブレット端末からのリクエストを受け付け,その内容を基に新たにHTTPサーバへリクエストを開始する。一方,HTTPSプロキシの場合,プロキシサーバは,タブレット端末からの カ 要求によってHTTPSサーバへのTLSトンネルを中継し,その後のリクエストは,TLSトンネルの中をそのまま転送する。⑦HTTPSの場合は,HTTPと比較して取得できるログの内容が限られるが,システム運用上問題はない。  O君は,以上の検討結果をまとめて,プロジェクトに提案した。その結果,O君が考えたネットワーク構成案は,プロジェクトで採用され,システムが構築されることになった。

設問一覧 & 解答・演習

まずは解答を作成してみましょう。「解答例を見る」をクリックするとIPA公式解答例と採点基準が開きます。

設問1 [ ア ]記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の ア に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 10 文字
設問1 [ イ ]記述問題
制限字数:15 字以内
本文中の イ に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 15 文字
設問1 [ ウ ]記述問題
制限字数:15 字以内
本文中の ウ に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 15 文字
設問1 [ エ ]記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の エ に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 10 文字
設問1 [ オ ]記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の オ に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 10 文字
設問1 [ カ ]記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の カ に入れる適切な字句を答えよ。
0 / 10 文字
設問2 (1)記述問題
制限字数:25 字以内
本文中の下線①について,ステルス機能の動作を25字以内で述べよ。
0 / 25 文字
設問2 (2)記述問題
制限字数:30 字以内
本文中の下線②について,SSID や MAC アドレスは容易に取得される危険性がある。その理由を,電波を用いて通信を行う無線 LAN の特性に着目して,30字以内で述べよ。
0 / 30 文字
設問2 (3)記述問題
制限字数:1 字以内
本文中の下線③について,重複してはいけないセグメントを,図1中の(A)〜(E)から選べ。
0 / 1 文字
設問3 (1)記述問題
制限字数:20 字以内
本文中の下線④について,報告を受けたモバイルネットワーク管理者が取るべき行動を,紛失した VPN 接続の利用者 ID に着目して,20字以内で述べよ。
0 / 20 文字
設問3 (2)記述問題
制限字数:25 字以内
本文中の下線⑤で,許可するとしている通信を,図1中の字句を用いて25字以内で答えよ。
0 / 25 文字
設問4 (1) 機能名記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の下線⑥について,プロキシサーバに必要な機能名を10字以内で答えよ。
0 / 10 文字
設問4 (1) 設定内容記述問題
制限字数:20 字以内
本文中の下線⑥について,営業員を特定するために必要な設定内容を20字以内で述べよ。
0 / 20 文字
設問4 (2) ①記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の下線⑦について,HTTPS の Request-URI から取得できるログの内容を二つ挙げ,それぞれ10字以内で答えよ。(一つ目)
0 / 10 文字
設問4 (2) ②記述問題
制限字数:10 字以内
本文中の下線⑦について,HTTPS の Request-URI から取得できるログの内容を二つ挙げ,それぞれ10字以内で答えよ。(二つ目)
0 / 10 文字
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💡 推薦ポイント:午後I・午後IIの長文ネットワーク構成事例でどこに着目してパケットの流れや設定不備を読み解くか、実践的な解法プロセスを身につけられます。
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【出題趣旨】IPA公式発表
近年,企業においてスマートフォンやタブレットといったモバイル端末の業務利用が進んでいる。モバイル端末を用いた業務システムを設計する際には,業務要件を満たすとともに,セキュリティ脅威についても考慮する必要がある。セキュリティ脅威に対する対策は,様々な方法を組み合わせる場合が多い。 本問では,ある企業のモバイルネットワークを想定し,これを構成する無線LAN 接続,LTE 回線を用いたインターネット接続,VPN 接続,プロキシサーバの各要素について,ネットワーク上のセキュリティ脅威を想定し,取るべき対策を考えられるか,及び不正が行われた際の影響を最小限にする設計を考えられるかを問う。
【採点講評】IPA公式発表
問2 では,業務システムを設計する際に,ネットワーク上のセキュリティ脅威を想定し,取るべき対策を考えられるか,及び不正が行われた際の影響を,最小限にする設計を考えられるかについて出題した。全体として,正答率は低かった。 設問2 (1)では,誤って,無線ネットワークの一覧にSSID が表示されないなど,ステルス機能によって無線LAN クライアント側にみられる効果を解答したものが散見された。(2)では,無線LAN は電波を利用するため通信内容を容易に傍受されうることは理解できているものの,SSID やMAC アドレスは暗号化できないために容易に取得されうることを理解している解答は少なかった。無線LAN は広く普及した技術であり,ネットワーク技術者として正確に理解をし,身に付けてほしい。 設問3 (2)は,正答率は低くなかったが,本文中に示されている条件を見落としたと思われる解答が散見された。限られた時間の中ではあるが,本文や図表から,ネットワーク構成を正しく読み解けるようになってほしい。 設問4 は,(1)の正答率は低かった。プロキシを通すだけでなく,利用者認証による利用者情報を含めたログ取得を行うことによって,セキュリティ脅威に対して業務システムをより堅牢にできる点について理解を深めてほしい。また,(2)の正答率は,比較的高かった。セキュリティ脅威を想定する上で,取得できるログの内容が重要であることはよく理解されていることがうかがえた。
本問に関連するネットワークスペシャリスト重要用語解説
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平成28年 秋期 午後I(3問中2問選択・90分)を実戦演習モードで通し解答し、総合採点を受けられます。
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