IT戦略・ITガバナンス・投資評価 重要度:★★★出題: AM2・PM1・PM2
NPV(正味現在価値)
えぬぴーぶい / しょうみげんざいかち / Net Present Value (NPV)
将来生み出されるキャッシュフローを現在価値に割引いた合計から、初期投資額を差し引いた純利益価値。
3行速習ポイント
- お金の「時間的価値(Time Value of Money)」を考慮した、最も理論的で信頼性の高い投資採算評価手法。
- NPV > 0 であれば投資妥当性あり(企業価値を増大させる)、NPV < 0 であれば却下すべきと判定する。
- ITストラテジストは、資本コスト(WACC)を割引率として用い、大規模システム投資の経済的合理性を証明する。
図解
図NPV(正味現在価値)の計算概念フロープロセス・手順フロー
将来キャッシュフローを現在価値へ引き直して合算▶ 進行順序:1. マイナス➔2. 名目額➔3. 現在価値化➔4. 投資GO
1初期投資 (Cash Out)
マイナスYear 0: -1億円
Year 0に発生するシステム開発費、ライセンス取得費、データ移行費、現場教育費などの初期キャッシュアウト総額を算出する。
2将来キャッシュイン (Cash In)
名目額Year 1〜5の削減効果・増収
システム稼働後の各年度(Year 1〜5等)に生み出される増収効果や業務削減によるキャッシュインから運用保守費を差し引いた純額を見積もる。
3現在価値への割引 (Discounting)
現在価値化割引率 r による現在価値化
将来のキャッシュフローは現在の同額より価値が低いため、企業の資本コスト(WACC等の割引率r)を用いて現在価値へ割り戻す。
4NPV判定 (Net Present Value)
投資GO正味現在価値 > 0
割引後の将来キャッシュイン合計から初期投資額を差し引き、NPV>0であれば資本コストを上回る企業価値を生むため投資採択と判定する。
💡 午前IIの割引計算問題で頻出。午後IIの計画策定章では「割引率を考慮した5年間のNPVがプラスであることを試算し経営承認を得た」と定量記述する。
概要と本質
「今日の100万円」は「1年後の100万円」よりも価値が高い(運用して利息を生むため)という時間価値の概念に基づき、将来複数年にわたるIT投資の削減効果や増収キャッシュフローを現在価値に引き直して合算します。単純な回収期間法や投資利益率(ROI)よりも長期の収益性を正確に反映できます。
重要ポイント・コア概念
- 割引率(Discount Rate):企業の調達資本コスト(WACC:加重平均資本コスト)や期待収益率を使用
- NPV計算式:NPV = Σ [ CF_t / (1 + r)^t ] - 初期投資額
- 判定基準:NPVが正(プラス)なら採択、複数案比較ではNPVが最大の案を選択
- 感応度分析:割引率の変動や将来キャッシュフローの下振れリスクを織り込んだシナリオ分析を行う。
試験対策・午後II論文での活用法
午前II計算問題の定番(割引計算してNPVを算出させる)。午後I・午後IIでは、経営陣への投資上申における客観的エビデンスとして『割引率5%で試算した結果、NPVは3,200万円のプラスとなり、十分な投資適格性を確認した』と数値を交えて論述すると圧倒的な説得力を生む。
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