暗号技術・PKI・認証基盤 重要度:★★★出題: AM2・PM1
ECDHE と 前方秘匿性 (PFS: Perfect Forward Secrecy)
いーしーでぃーえいちいー / ぜんぽうひとくせい / Elliptic Curve Diffie-Hellman Ephemeral / Perfect Forward Secrecy
セッションごとに一時的(エフェメラル)な鍵ペアを生成して鍵共有を行うことで、将来サーバの長期秘密鍵が漏洩しても過去の暗号通信が復号されない性質。
3行速習ポイント
- 従来のRSA鍵交換では、攻撃者が暗号通信を録画しておき数年後にサーバ秘密鍵を盗むと全過去通信が復号される弱点があった
- ECDHE(楕円曲線一時ディフィー・ヘルマン)では、セッション確立後に一時秘密鍵をメモリから即座に破棄
- サーバ証明書(長期秘密鍵)は鍵交換パラメータへの「デジタル署名(なりすまし防止)」にのみ使用される
図解
図静的RSA鍵交換 と ECDHE(前方秘匿性:PFS)の比較
従来の静的RSA鍵交換(PFSなし)TLS 1.3で廃止
サーバ証明書の長期秘密鍵でプリマスタシークレットを暗号化
攻撃者が過去の暗号通信パケットを傍受・保存しておき、数年後にサーバの長期秘密鍵が漏洩すると、過去のすべての通信が遡って復号されてしまう
ECDHE 一時鍵交換(PFSあり)TLS 1.3必須標準
セッションごとに使い捨て(Ephemeral)鍵ペアを生成・即時破棄
長期秘密鍵はなりすまし防止の署名のみに使用し、共通鍵はセッションごとの一時DH鍵交換で導出後にメモリから消去するため、将来秘密鍵が漏洩しても過去通信は復号不能
💡 ECDHE導入環境ではサーバ秘密鍵のコピーだけではパッシブ型IDS等でTLS復号できないため、リバースプロキシ等でのTLS終端が必要になる
概要と本質
長期運用されるWebサーバの秘密鍵が万一漏洩した場合でも、それ以前に傍受・記録されていたTLS通信データの機密性を守り抜く性質がPFS(前方秘匿性:Forward Secrecy)です。TLS 1.3ではPFSを持たない静的RSA鍵交換が完全に廃止され、ECDHE/DHEが必須化されました。
重要ポイント・コア概念
- Ephemeral(一時的)鍵:TLSセッションごとに乱数から生成され、セッション終了時に完全消去される使い捨て鍵ペア
- 楕円曲線暗号(ECC)の利点:RSAと比較して短い鍵長(例:256ビット)で同等以上の暗号強度を達成し、演算負荷が低い
- TLSインスペクション(復号監視)への影響:サーバ秘密鍵のコピーだけではパッシブ復号ができなくなるため、リバースプロキシやプロキシ型装置での明示的なTLS終端が必要
午後記述・情報セキュリティ対策での攻略ポイント
午前II・午後ともに頻出。「PFSの意味」「なぜECDHEを使うとサーバ秘密鍵を使ったパッシブ型IDSでのTLS復号ができなくなるのか」というネットワーク設計上の影響まで問われます。
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