IT戦略・ITガバナンス・投資評価
午前II午後I午後II論文
重要度:
TCO(総所有コスト)
よみがな: てぃーしーおー / そうしょゆうこすと
英語名称・略称: Total Cost of Ownership (TCO)
1行要約(本質)
システムの導入・開発費用(初期費用)だけでなく、運用保守・教育・廃棄に至る全生涯コストの総和。
3つの重要ポイント
1
一般に初期費用(イニシャルコスト)は氷山の一角であり、運用・改修費(ランニングコスト)が7〜8割を占める。
2
クラウド移行やSaaS導入の主な動機は、ハード更新や運用管理工数の削減によるTCO削減にある。
3
午後II論文では、現行レガシーの膨大なTCOを可視化し、新基盤への移行原資を捻出したストーリーが定石。
構造・プロセスの図解
図TCOの氷山モデル(初期費用 vs ライフサイクル費用)
目に見えるイニシャルコストは全体のごく一部イニシャル
【海面上】初期導入費用(約20%)
ハード・ソフト購入費、設計・開発費
目に見えやすく経営陣が注視するが、ライフサイクル全体では一部に過ぎない。
ランニング
【海面下】直接運用・保守費用(約50%)
ライセンス更新料、データセンタ費用、外注運用費
毎年確実に発生し続ける定常ランニングコスト。年々増大しやすい。
見えないコスト
【海面下】見えない間接コスト(約30%)
社内対応工数、障害ダウンタイム損失、ユーザー教育費
会計上見落とされがちだが、企業の生産性を著しく削ぐ隠れたコスト。
概要・背景・本質
TCOは、ハードウェアやソフトウェアの購入代金(直接費用)のみならず、運用管理費、障害対応費、バージョンアップ改修費、ユーザー教育費、さらにはエンドユーザーがトラブル対応に費やした見えない工数(間接費用)まで含めたトータルコストです。安価に見えるオンプレミスが実は莫大なTCOを生んでいるケースが多々あります。
コア概念と着眼点
- 直接費用(Direct Costs):ハード・ソフト購入費、保守契約料、運用委託費、通信費
- 間接費用(Indirect Costs):社内SEの運用工数、ユーザー教育、障害による業務停止損失
- 氷山モデル:海面上に見える初期コスト(20%)の下に、海面下の維持管理コスト(80%)が潜む
- ITストラテジストは、クラウド活用やマネージドサービスの採用により運用負荷を外部化しTCOを大幅削減する。
ITストラテジスト試験(午後I記述・午後II論文)での論述ポイント
午前II・午後I・午後IIすべてで必須の頻出語。午後II論文では『現行システムは度重なる個別改修でスパゲティ化し、保守運用費が全IT予算の75%を占める高TCO体質となっていた。そこでクラウドSaaSへの標準化を図り、TCOを30%削減して新規DX投資へ振り向けた』という論述構成が極めて高い評価を受ける。