経営戦略・事業戦略
午前II午後I午後II論文
重要度:
両利きの経営
よみがな: りょうききのけいえい
英語名称・略称: Ambidexterity in Business
1行要約(本質)
既存事業の効率化・深掘りを行う「知の深化」と、新分野を切り拓く「知の探索」を高次元で両立する経営。
3つの重要ポイント
1
チャールズ・オライリーらが提唱した、企業の持続的成長とイノベーションを同時に実現する組織論。
2
「知の深化」偏重(コンピテンシー・トラップ)に陥ると、既存事業の成功体験から抜け出せなくなる。
3
IT組織では、安定重視のSoR(モード1)とスピード重視のSoE(モード2)のバイモーダル運用で体現される。
構造・プロセスの図解
図両利きの経営:知の深化 vs 知の探索
相反する2つの活動を同一企業内で両立知の深化 (Exploitation)守り・効率
既存事業のブラッシュアップ
確実性、効率性、品質、改善。既存基幹系システムの安定稼働やコストダウン(モード1)。
知の探索 (Exploration)攻め・革新
新規領域への越境・実験
発見、実験、イノベーション、失敗の許容。アジャイルや生成AIを活用した新事業創出(モード2)。
概要・背景・本質
企業は既存事業の改善(知の深化)に資源を集中しがちであり、短期的には利益が出るものの、長期的には市場変化に取り残される「イノベーションのジレンマ」に直面します。両利きの経営は、既存事業で稼ぎつつ、遠く離れた未知の領域に知を広げる「知の探索」を意図的に行い、両者を両立させる組織構造とリーダーシップを求めます。
コア概念と着眼点
- 知の深化(Exploitation):既存の事業・業務プロセスの改善、コスト削減、品質向上(確実性・効率性)
- 知の探索(Exploration):自社の認知の範囲を超えた新技術・新市場の探索、実験、失敗の許容(柔軟性・スピード)
- 組織的分離:既存部隊と新事業部隊を物理的・制度的に分離し、既存の評価基準で新芽を摘まない工夫
- トップの統合リーダーシップ:相反する2つの文化を経営陣が橋渡しし、全体シナジーを生み出す。
ITストラテジスト試験(午後I記述・午後II論文)での論述ポイント
IT戦略論文の主題として非常に強力。「基幹系システムの保守・安定稼働(知の深化・モード1)」と「顧客接点アプリの迅速な仮説検証(知の探索・モード2)」を両立させるバイモーダルIT体制の構築事例として記述すると、試験官に深い理解を印象づけられる。