データベーススペシャリスト午後I 事例記述平成28年 春期
午後I 問2

問2 データベースの運用設計に関するデータベース設計・実装

テーマ:データベースの運用設計(バックアップと回復手順)
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長文事例本文

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問2 データベースの運用設計に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。 A社は,仕入れた商品を中小企業向けに小口販売している卸売業者である。A社では,受注,出荷,発注,在庫管理及び販売分析の業務を支援する受発注在庫管理システムを運用している。 〔プログラムとテーブルの関係〕 受発注在庫管理システムの主要なプログラムとテーブルの参照・更新の関係は,表1に示すとおりである。
表1 主要なプログラムとテーブルの参照・更新の関係 拡大
表1 主要なプログラムとテーブルの参照・更新の関係
(1) “商品”テーブル,“仕入先”テーブル及び“販売先”テーブルの追加,変更の要求は,“マスタ更新登録”テーブルに登録され,バッチプログラムで1件ずつコミットしながら反映される。 (2) “在庫”テーブルは,在庫のうちの3割(売れ筋商品)に相当する約1,000行が毎日頻繁に変更される。 (3) “出荷”テーブルには,毎日,約400,000行が追加される。 (4) “日別販売実績”テーブルには,当日分の販売実績が追加される。また,“月別販売実績”テーブルには,当日分の販売実績が当月分の販売実績に反映される。これらのテーブルには,直近3年分の販売実績が蓄積されている。 (5) “分析用データ”テーブルは,販売分析で使用する。当日分の販売実績が,前日に作成された“分析用データ”テーブルに反映され,直近3年分の分析結果となるように維持されている。 “分析用データ”テーブルは,バッチプログラム“分析用データ作成”を用いて,蓄積されている販売実績を基に,再作成することも可能である。 〔バッチプログラムの実行スケジュール〕 バッチプログラムの実行スケジュールを,図1に示す。
図1 バッチプログラムの実行スケジュール 拡大
図1 バッチプログラムの実行スケジュール
〔データの入出力〕 (1) RDBMSがディスクとデータの入出力を行う単位を,ページという。1ページ内にはテーブルの行が複数格納される。 (2) 同じページに,異なるテーブルの行が格納されることはない。 (3) 受発注在庫管理システムでは,ページのサイズは4,096バイトとしている。また,“在庫”テーブル及び“出荷”テーブルは,1ページ内に40行格納できるものとする。 〔RDBMSのバックアップ機能・復元機能・更新ログによる回復機能〕 1. バックアップ機能 (1) バックアップの単位には,データベース単位とテーブル単位がある。 (2) バックアップの種類には,取得するページの範囲によって,全体バックアップ,増分バックアップ及び差分バックアップがある。 ① 全体バックアップには,全ページが含まれる。 ② 増分バックアップには,前回の全体バックアップ取得後に変更されたページが含まれる。ただし,前回の全体バックアップ取得以降に増分バックアップを取得していた場合は,前回の増分バックアップ取得後に変更されたページだけが含まれる。 ③ 差分バックアップには,前回の全体バックアップ取得後に変更された全てのページが含まれる。 (3) 全体バックアップと増分バックアップの場合は,バックアップ取得ごとにバックアップファイルが作成される。差分バックアップの場合は,2回目以降の差分バックアップ取得ごとに,前回の差分バックアップファイルが最新の差分バックアップファイルで置き換えられる。 (4) バックアップ取得に要する時間は,バックアップを取得するページ数に比例する。 2. 復元機能 (1) バックアップを用いて,バックアップ取得時点の状態に復元できる。 (2) 復元の単位は,バックアップの単位と同一である。データベース単位のバックアップを用いて,特定のテーブルだけを復元することはできない。 3. 更新ログによる回復機能 (1) バックアップを用いて復元した後,更新ログを用いたロールフォワード処理によって指定の時刻の状態に回復できる。 (2) 更新ログによる回復に要する時間は,更新ログの量に比例する。 〔バックアップ及び回復の方針〕 (1) オンライン時間帯直前に,データベース単位でバックアップを取得する。 (2) オンラインプログラムで更新され得るテーブルは,オンライン時間帯直後に,テーブル単位でバックアップを取得する。 (3) それぞれのバッチプログラムを実行する直前に,更新対象のテーブルについて,テーブル単位でバックアップを取得する。ただし,(2)でバックアップを取得したテーブルは対象外とする。 (4) バックアップの種類は,全体バックアップとする。 (5) 回復は,受注,出荷,発注,在庫管理の業務に影響するテーブルを優先する。 〔データ異常発生時の回復運用〕 バッチプログラム“出荷計上”にプログラム不良があり,“在庫”テーブルの当日分の内容が不正になっていた。これが原因でバッチプログラム“発注対象データ作成”が中断した。バッチプログラムで更新された全てのテーブルを当日のオンライン時間帯直後の状態に復元し,プログラム不良を修正後,全てのバッチプログラムを再実行すれば回復可能であるが,時間が掛かるので,次の手順を立案した。 第1段階 バックアップを用いて“出荷”テーブルと“在庫”テーブルを当日のオンライン時間帯直後の状態に復元し,プログラム不良を修正したバッチプログラム“出荷計上”を再実行する。 第2段階 バックアップを用いて“ ア ”テーブルを当日のオンライン時間帯直後の状態に復元し,バッチプログラム“ イ ”を再実行する。 第3段階 バックアップを用いて“ ウ ”テーブルを当日のオンライン時間帯直後の状態に復元し,バッチプログラム“ エ ”を再実行する。 第4段階 バッチプログラム“マスタ更新反映”を実行する。

設問一覧 & 解答・演習

まずは解答を作成してみましょう。「解答例を見る」をクリックするとIPA公式解答例と採点基準が開きます。

設問1 (1)記号・選択式
図1中の各契機でのテーブル単位のバックアップについて,次の表でバックアップを取得するものに“○”を記入せよ。
なお,バックアップを取得しないものは,空欄のままとすること。
※直接入力してください
設問1 (2)記号・選択式
図1で実行中のバッチプログラムがテーブルにアクセスしたとき,ディスク障害を検知して異常終了する場合がある。障害を検知したバッチプログラム名,ディスク障害の影響を受けたテーブル名,及びディスク復旧後の回復手順を,次の表にまとめた。表中の a 〜 f に入れる適切な字句を答えよ。
※直接入力してください
設問2 (1)記述問題
制限字数:30 字以内
月初めだけ全体バックアップを取得し,日々の運用では増分バックアップ,差分バックアップも活用することにした。ただし,どちらのバックアップでも同程度の容量の節約となる場合は,バックアップ取得に要する時間が短い方を選択する。この場合,“在庫”テーブル及び“出荷”テーブルについて,選択すべきバックアップの種類として“増分”又は“差分”のいずれかを○印で囲め。また,その選択根拠として“容量”又は“時間”のいずれかを○印で囲み,その理由(容量が節約できる理由又は時間が短い理由)を,30字以内で述べよ。
0 / 30 文字
設問2 (2)記号・選択式
ある一つのテーブルのバックアップを月初めだけ取得し,日々のバックアップは取得しないことにした。回復の方針に従って,どのテーブルを対象にすべきか,テーブル名を答えよ。
※直接入力してください
設問2 (3)記述問題
制限字数:40 字以内
(2)のテーブルに障害が発生し,かつ,バックアップファイルが壊れていた場合,どのように回復するか,40字以内で述べよ。
0 / 40 文字
設問3 (1)記号・選択式
〔データ異常発生時の回復運用〕について,ア 〜 エ に入れる適切な字句を答えよ。
※直接入力してください
設問3 (2)記述問題
制限字数:40 字以内
バッチプログラム“出荷計上”,“ イ ”,“ エ ”の再実行,及び“マスタ更新反映”の実行を除いて,その他のバッチプログラムの再実行は不要である。その理由を40字以内で述べよ。
0 / 40 文字
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【出題趣旨】IPA公式発表
データベースの運用・保守では,適切なバックアップを取得し,必要に応じて回復を実行する。バックアップ,回復を実行する際には,対象を見極め,業務への影響を理解・整理し,その結果を適切にバックアップ・回復計画に反映させることが求められる。 本問では,データベースのバックアップ,回復についての理解度を測り,また,システムの環境条件,運用状況に応じた,適切なバックアップ・回復手順の設計能力を評価する。
【採点講評】IPA公式発表
問2では,受発注在庫管理システムを題材に,オンライン時間帯とバッチ時間帯を繰り返しながら運用するデータベースのバックアップ,回復について出題した。全体として正答率は高かった。 設問2(1)では,バックアップの種類を選択した理由において,バックアップの特性の一般論だけで解答した誤った解答が多かった。バックアップ対象のテーブルの更新特性,増分バックアップと差分バックアップの相違点を状況記述から読み取ってほしい。(2)及び(3)は正答率が低かった。状況記述における回復の方針及び各テーブルに対する処理内容の説明を読み取れば正解を導けるはずである。 設問3は,正答率が低かった。プログラムとテーブルの参照・更新の関係,バッチプログラムの実行スケジュールから,プログラム不良によるテーブル内容への影響を見極めるようにしてほしい。
本問に関連するデータベーススペシャリスト重要用語解説
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