システムアーキテクト午後I 事例記述令和6年 春期
午後I 問3

問3 学習塾の通知システムについて

テーマ:情報システムの導入において,システムアーキテクトは,システム全体の構成や業務要件を踏まえた設計を 行うことが求められる。
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長文事例本文

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問3 学習塾の通知システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。  K社は小中学生を主なターゲットにした個別指導学習塾チェーンであり,全国約200の拠点とそれらを統括する本部で構成されている。保護者の防犯意識の高まりを受けて,生徒が塾に到着したとき(以下,登校という)と帰宅のために塾を退出するとき(以下,下校という)に保護者に電子メール(以下,メールという)で登校・下校(以下,登下校という)を通知するシステム(以下,新システムという)を新たに導入することにした。 〔業務の概要と新システムへの要望〕  K社の拠点は駅前を中心に展開されており,各拠点には30〜100名程度の生徒が所属している。兄弟姉妹で入会する生徒も多いが,それぞれが別の拠点に所属する場合もある。通常の授業は14時から21時まで行われている。  新システムは,保護者からの“子供が無事に塾に到着したのかを知りたい”,“帰宅前に通知が欲しい”といった要望を受けて導入が決まったものであり,拠点長からは次のような要望も寄せられている。 ・保護者が生徒の顔を見て安心できるように,登下校を通知するメール(以下,登下校通知メールという)には登下校時に撮影した写真を添付したい。 ・夕方のピーク時間帯の授業では,授業開始直前や終了直後に出入口が混雑するので,登下校の手続はスムーズにできるようにしてほしい。 ・登下校通知メールの送信が遅延すると保護者に不安を与えるので,可能な限り早く送信したい。 ・生徒は時々忘れ物をすることがあるが,その場合でも使えるようなシステムにしてほしい。 ・登下校の履歴から拠点に在室している生徒数を把握したい。 〔新システムの設計〕  K社情報システム部のL課長は,新システムを次のように設計した。  拠点の出入口に,生徒が登下校の手続を行うためのタブレット端末(以下,登下校用端末という)を設置する。登下校用端末には,拠点ごとに一意の拠点コードを設定しておく。生徒数が多い拠点では,登下校用端末を複数設置してどの端末でも登下校の手続ができるようにする。  本部に管理サーバを設置し,各種マスターや登下校履歴のファイルは管理サーバ内で一元管理する。拠点長及び本部の担当者は,管理サーバに実装するWeb管理画面(以下,管理画面という)にログインして各種管理業務を行う。登下校用端末からは管理サーバ内のファイルにはアクセスしない。登下校用端末が管理サーバから受け取る情報は,依頼した処理の成功又は失敗だけとする。  生徒には1人1枚ずつ生徒カードを配布する。生徒カードには一意の生徒カード番号を割り当て,生徒カード番号のQRコードと生徒氏名を印刷する。  登下校用端末では常時フロントカメラが動作している。生徒が生徒カードをかざすとフロントカメラがQRコードを認識し,その時点の映像を生徒の顔やQRコードを含む写真として撮影する。その上で,QRコードから読み取った生徒カード番号と撮影した写真を管理サーバに送信し,管理サーバで登下校登録と保護者への登下校通知メール送信が行われる。登下校の手続では,登下校用端末上での画面操作は求めず,その日1回目の登下校登録は登校,2回目は下校というように自動判定する。この自動判定は①登下校用端末に実装すると正しく判定できないことがあるので,管理サーバ上に実装することにした。  登下校通知メールの送信がエラーになった場合は,新システムから生徒が所属する拠点の拠点長に通知する。通知を受け取った拠点長は保護者メールアドレスを確認し,必要な対応を行う。  新システムの主要なファイルを表1に示す。
表1 新システムの主要なファイル 拡大
表1 新システムの主要なファイル
 管理サーバの主要な機能を表2に示す。
表2 管理サーバの主要な機能 拡大
表2 管理サーバの主要な機能
表2 管理サーバの主要な機能(続き) 拡大
表2 管理サーバの主要な機能(続き)
〔上長からの指摘及び追加要望〕  L課長が設計内容を上長に説明したところ,次のような指摘及び追加要望が出された。 ・生徒が生徒カードの持参を忘れた場合に,登下校代理登録機能を用いる方法では,一部の要望を実現できない。 ・メール送信エラー通知機能で,ある場合に通知すべき拠点を特定できない。 ・各拠点から,所属する全ての生徒の保護者に対して臨時休校のお知らせなどを一斉送信する機能を追加したい。本部からも,全拠点又は特定拠点の生徒の保護者に対して各種お知らせを一斉送信できるようにしたい。 ・模試や夏期講習などで,臨時で別の拠点の授業を受けることがある。この際も登下校を管理し,登下校通知のメール送信もできるようにしたい。生徒カードは通常の授業と同じものを使いたい。 〔システムの設計変更〕  L課長は上長からの指摘及び追加要望を受け,次のような設計変更を行った。ただし,登下校代理登録機能の指摘に関しては,本システムでの要望の実現は難しいと判断して対応を見送ることにした。 (1) メール送信エラー通知機能の修正  (省略) (2) お知らせメール送信機能の追加  拠点長及び本部担当者の管理画面において,生徒の保護者に一斉にメール送信できるようにする。拠点長の場合は自拠点に所属する全生徒が,本部担当者の場合は全拠点又は選択した拠点の全生徒が対象となる。件名,本文を入力して送信ボタンを押すことで,対象となるメールアドレス全てにメールが送信される。本機能の導入に当たり,②表2中のある機能を変更する。  また,③他の機能へ悪影響を与える懸念があるので,本機能では専用のメールサーバを新たに導入することにした。 (3) 別拠点への登下校への対応  登下校履歴ファイルに,実際に登下校した拠点を示す“拠点コード”属性を追加する。この属性には,登下校登録機能では登下校用端末から受け取った拠点コードを設定し,登下校代理登録機能では拠点長が自拠点の拠点コードを設定する。また,これらの機能のほかにも④二つの機能を変更する。  登下校用端末は,生徒カード番号と撮影した写真に加えて,設定されている拠点コードを管理サーバに送信するように修正する。

設問一覧 & 解答・演習

まずは解答を作成してみましょう。「解答例を見る」をクリックするとIPA公式解答例と採点基準が開きます。

設問1記述問題
制限字数:30 字以内
〔新システムの設計〕について,本文中の下線①はどのような場合に起こるか。30字以内で答えよ。
0 / 30 文字
設問2(1)記述問題
制限字数:25 字以内
〔上長からの指摘及び追加要望〕について答えよ。
(1) 登下校代理登録機能を用いる方法では実現できない要望を25字以内で答えよ。
0 / 25 文字
設問2(2)記述問題
制限字数:40 字以内
〔上長からの指摘及び追加要望〕について答えよ。
(2) メール送信エラー通知機能で通知すべき拠点を特定できないのはどのような場合か。40字以内で具体的に答えよ。
0 / 40 文字
設問3(1)記述問題
制限字数:35 字以内
〔システムの設計変更〕について答えよ。
(1) 本文中の下線②について,変更する機能名を表2中から答えよ。また,どのような変更を行うのか。35字以内で答えよ。
0 / 35 文字
設問3(2)記述問題
制限字数:20 字以内
〔システムの設計変更〕について答えよ。
(2) 本文中の下線③で懸念したのはどのような悪影響か。20字以内で答えよ。
0 / 20 文字
設問3(3)記述問題
制限字数:40 字以内
〔システムの設計変更〕について答えよ。
(3) 本文中の下線④について,変更する機能名を表2中から二つ答えよ。また,それらの機能概要をどのように変更するのか。それぞれ40字以内で具体的に答えよ。
0 / 40 文字
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【出題趣旨】IPA公式発表
情報システムの導入において,システムアーキテクトは,システム全体の構成や業務要件を踏まえた設計を 行うことが求められる。複数の操作端末やサブシステムが連携することも一般的になっているが,このような 場合は,連携する情報を正しく理解して設計することが必要になる。 本問では,複数拠点を持つ学習塾のシステムを題材として,要件を正しく理解して機能を設計する能力,既 存機能への影響を考慮しながらレビュー指摘事項や追加要望に対応する能力を問う。
【採点講評】IPA公式発表
問3 では,学習塾の通知システムを題材に,複数の拠点がある場合の影響,追加要望に対応するための設計 について出題した。全体として正答率は平均的であった。 設問2(2)は,正答率がやや低かった。保護者メールアドレスをキーに検索すると複数拠点の生徒が一致する 場合があることを問う問題であったが,“臨時で別拠点の授業を受けている場合”と誤って解答した受験者が 多かった。本文中の記述から処理の内容と指摘事項を読み取り,正答を導き出してほしい。 設問3(1)は,正答率がやや低かった。変更する機能名を,“登下校通知メール送信”と誤って解答した受験 者が多かった。追加機能の実装に併せて,既存機能にどのような変更が必要となるかを正しく把握してほし い。 設問3(3)は,拠点在室人数表示機能に関する変更内容の正答率がやや低かった。“別拠点の生徒も抽出対象 に加える”のような,条件の変更には触れているものの,内容が不十分な解答が散見された。別拠点の生徒が 自拠点に登下校するケースだけでなく,自拠点の生徒が別拠点に登下校するケースもあることから,人数の計 算には登下校履歴ファイルの“拠点コード”を使用する必要がある。追加要望に応じた変更を加える際の影響 範囲を正しく把握し,適切な処理内容を設計できるよう心掛けてほしい。
本問に関連するシステムアーキテクト重要用語解説
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